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【合同企画】相合い傘

第3章 Candy Rain


『大丈夫だよ。心配なんて何も無いから。』

から届いた返信は思いの外早よおて思わず口元が緩んだ。
新着メールを知らせる画面にの名前が表示された瞬間の高揚感。
誰かからのメールがこない嬉しいなんて感じた事は無い。
後ろのアイツに見えんように手早く画面をホームに戻す。

「やけに機嫌良いじゃん。」
「そおか?」
「良い事でもあった?」

“良い事”なんて…
海斗には悪いけど、お前のお陰であり過ぎやわ。
ワシの中に蠢く黒い感情は隠す。

「まぁな。」

秘密は抱えても“嘘”は吐いとらん。
“良い事”と聞かれただけで“何が”やあらへん。
せやから曖昧ではあるものの肯定を含んだ返事をしたまでや。
窓の外は昨日の雨が嘘みたいに晴れとる。

雨…降ればええのに。

ほんまは嫌いなんや。
傘差しとってもメガネのレンズは濡れとるし。
外気温と室内の気温差が出て曇ったりするし。
せやけど…傘の中は二人だけの世界に思えて、
ワシらを取り巻く環境なんて何も無い感じがすんねん。
それに…傘あれば二人の姿を隠してくれるわ。

雨に濡れて止まってしまった腕時計。
修理に出すつもりでカバンの中にしまったはずやのに、
止まった時間はとキスを重ねた時間やと思うと修理に出しとうなくなる。

(戻ってきた頃にはまた何か変わってるやろか?)

雨が降りそうもない空を見上げてを想う。
ふと感じた香り…
の香りが鼻を掠めた気がした。


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