第2章 相合い傘の約束
作りたてのお粥と薬…それから水を持って再びベッドサイドへ腰を下ろすと
サイドテーブルにそれらを置いて声をかけます。
「さん。」
ゆっくりと開かれた瞼。
「何も食べないのは良くありません。お粥を作りましたから少しでも食べて下さい。」
「失礼します。」と声を掛けてから、
首の後ろと腰の辺りへ腕を差しこんで彼女の上体を起こす。
いつもより高い体温。
目の前の愛しい人の体温を感じただけで彼女と交わりたいと言う衝動にかられてしまう。
そんな煩悩を理性で制して彼女へ微笑む。
「さぁ、食べさせて差し上げます。」
陶器で出来た匙に控えめに粥を掬い取って、息を吹きかける。
火傷の心配の無い熱さになったのを見計らって口元へ差し出せば、
何時もよりも色付いた唇が開けられる。
「少し薄味に仕上げてありますが如何でしょうか?」
「美味しい。」
彼女の柔らかな笑みにホッと胸を撫で下ろす。
「もう少し、食べられそうですか?」
「ん…。」
まるで幼子の様に拙い返事をした彼女が可愛らしくて、口元が緩んでしまいます。
少し会話を交えながらの食事。
いつしか手元の器に入ったお粥は空になり、彼女は「ごちそうさまでした。」と微笑みました、