第2章 相合い傘の約束
彼女がお住まいのマンションの近くのコインパーキング。
キーケースに繋がれた銀色のソレを使うのは今日が初めてです。
凛々蝶様と同じく一人暮らしをされている彼女が僕に渡してくださった合鍵。
マンションのエントランスを抜けエレベーターで彼女の部屋の階へ。
彼女の部屋に近付くにつれて高鳴る鼓動。
彼女を起こさないように…と音を立てないようにゆっくり鍵を回すと、
シリンダーの音がカチっとわずかに立ちました。
体調が優れないと言っていた割には相変わらず綺麗に片付けられている彼女の部屋。
ベッド中にある膨らみへそっと近付いて、その姿を確認します。
頬を紅くし、肩で息をする様に浅い呼吸を繰り返す彼女。
額にそっと触れると、潤んだ瞳が見開かれます。
「双熾さん…。」
「かなり熱があるようですね。お薬は?」
首を力なく振る彼女。
「何か召し上がりましたか?」
先程と寸分変わる事なく首を振る。
「台所をお借りします。直ぐに…楽にして差し上げますよ。」
優しく頭を撫でると彼女は緩やかに、弱々しく微笑む。
額に口吻を落としてから台所へ。
持参した食材をカウンターへ並べると早速調理を開始します。