第1章 ノクターン
天才ピアニスト
世界三大コンクールと呼ばれるピアノのコンクール。
「エリザベート王妃国際音楽コンクール」
「チャイコフスキー国際コンクール」
「ショパン国際ピアノコンクール」
チャイコフスキー国際コンクールは4年毎に。
ショパン国際ピアノコンクールは5年に毎に開催されているらしい。
ショパン国際ピアノコンクールはピアニストにとって最高の登竜門だと言う事を、
オレは笠松センパイから聞いた。
「二兎を追う者は一兎をも得ず…知ってるか?」
「それ位知ってるっスよ!」
「はピアノを選んだ。それだけの事だ。」
だけど…そんな簡単に人の気持ちって割り切れるもんなんスか?
オレは腑に落ちないままっちの表情を見た。
その横顔は、傘を貸してくれた時と同じように憂いを含んで空を見上げていた。
「オレには分かんねーっス。自分の気持ちごまかしてるのって、
“作られた笑顔”と何も変わんないスよね。」
何かを言おうとした笠松センパイを制したのはっちだった。
オレはそんな二人を無視して体育館へ戻った。