第2章 始まりはピンチの連続
始業式が終わり、教室に帰ろうと廊下の角を曲がる――と誰かと勢い良くぶつかってしまった。
私は耐え切れず数歩下がる。
「…っ!あ、大丈夫だった?」
その人は直ぐに私に駆け寄り、私の安全を最優先と言わんばかりに心配してくれているのが顔で分かった。
「だ、大丈夫です。ありがとうございます、ええっと…」
「俺は三年の鬼怒川熱史。本当にごめんね、三年がこれじゃあ駄目だね」
そう言い笑い掛けてくれて、私も緊張の糸が緩む。
「私は一年の望月渚です。ごめんなさい!ちゃんと確認せずに歩いてしまって」
「いや、俺も確認しなかったし…でも無事でよかった」
慌てて頭を下げる。するとまた笑い掛けてくれて、元気付けられる。
「…熱史ー?」
「煙ちゃん!?先に帰ってたんじゃなかったの?」