第2章 始まりはピンチの連続
「いえ、見てませんが…もしかして蔵王立さん?」
「俺のこと知ってんの!?」
立は目を輝かせて私を見つめる。
蔵王先輩は色んな噂が多く、ナンパしてたとか、三人でデートしてたとかの話を良く中学の頃に聞いていた。
蔵王先輩とは違う中学だが割りと近く、噂は直ぐに流れて来ていた。また友達――ゆらも話した事があるらしい。
「そんなに俺人気なんだーってやべぇ、硫黄探さなきゃ!それじゃあ」
蔵王先輩は走って探し人を聞き回っていた。
(バレなかったけど…ちゃんと出来てたかな?)
心配になりながらも教室へ向かった。