第4章 海と合宿と性別
「立、渚遅かったですね。平気ですか?」
更衣室から水着姿で出てきた鳴子先輩が尋ねる。まだ皆は中らしい。
「うん、実は渚が水着無いって言うから探してて」
「すみません。でも有基君の前で言ったら、一緒に探すとか言って大事になるかと…」
「まぁ無くはないですね」
更衣室から有基君の高い声が聴こえてくる。そろそろ出て来るのだろう。
「じゃあ俺着替えて来るから、渚よろしくな!」
「子供扱いしないであげて下さい」
「はいはい。じゃ!」
蔵王先輩が更衣室に入ると入れ替えに有基君達が出てくる。
「渚は着替えないんすか?」
「あ、うん…でも濡れない様に遊べば大丈夫だから」
「なに、忘れたのか?」
由布院先輩が鋭くつつくが、先程蔵王先輩と理由を練って来たから平気だ。
「いえ…間違って兄の水着持って来ちゃって」
「あー兄弟ってあるよね、そういうこと」
「着替えてきたよー」
「立早いですね」
「泳ぐっす!遊ぶっすよ~」
それから迷子になったのは、言うまでもない。