第4章 海と合宿と性別
「話って、なんですか?」
嫌な胸騒ぎがする中、勇気を振り絞り言う。
「あのさ、渚って女?」
「え…っと、なんでですか?」
今まで隠し切れていると思っていた私が悪かったのか、とドキドキし、今にもここから逃げ出したかった。
「いや、仕草とか性格が女っぽいっていうか…胸板にしては厚いし…」
「あ、えっと…その…」
「海って聞いた時、無意識かもしれないけど顔が暗くなったし。正直言ってくれる?誰にも言ったりしないから」
私は悩んだ。今言うべきか言わないべきか。誰かに言えば楽だけど、今なら男の娘目指してる、で切り抜けられる。
「私は…女です。黙っててすみませんでした」
でも、この人は嘘を見抜くだろう。女好きで、毎日の様にデートしてるから。
蔵王先輩は優しく笑ってくれた。だから何も隠さず、男装している理由を全て話した。