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相合い傘

第2章 戦国無双/織田信長


「GUILT」




ザーザーと、雨が降り出した。



用があって、隣の同盟国へ出向いていた。
自身の村が尾張の織田に攻められたと聞き、急ぎ馬を走らせる。




ただいま。
辿り着いたそこは、焼け野原だった。













雨に降られても、家と人が焼けた匂いは、酷い。
珠実は気分を悪くする。


私の家を探した。
ない。どこにもない。


親を探そうかと思った。
だがあまりにも苛烈で、止めた。








大好きな、紫陽花の咲く近くの通りまで歩く。
雨に打たれたながら歩いた。
髪や服が濡れるだとか、そんなこと、どうでもよかった。






良かった。ここは無事だった。
美しい紫陽花が、美しい青が、咲き乱れている。
カタツムリは嬉しそうに、顔を出している。




良かった?
良くない。


綺麗だねと共に花を愛でたあの人は、もういない。










珠実は地面に膝をついた。
地面の泥を、手で掻きむしった。
涙が、雨とともに流れていく。
私がいくら泣いても、目の前の華麗な花たちは何も変わらず凛と咲き続けるだけ。
その無情が、憎い。










ふと、雨が止まった。
顔をあげれば、紫陽花に雨は注ぎ続けている。
頭上には、傘。
立ち上がり振り返るとそこには、鎧を着た男がいる。





「あなたは、誰?」

「... ... 信長、ぞ」





珠実は泥を掴んだ手に力が入る。
こいつが、信長。


珠実はギロリと彼を睨んだ。
彼の腰に刺す刀を抜いて、刺してやろうと楯突いた。
だが簡単に、弾き飛ばされる。
私は尻もちをついた。
脳天に痛みが響く。





「ふふ、ふははははは。良いぞ。信長とともに、来い。そなたは美しい、ぞ」


信長は、私に手を差し出した。
ふざけるな。
私はその手を強く叩き払う。

「行くところも、ないのであろう」

信長は再び、手を差し出した。






私は息が荒くなる。
こいつが村を焼き払い、私の全てを奪った。
そんな私の生きる術が、奴だというのか。
憎い。
でも、生きたい。




私は奴の手を取った。
泥にまみれた手を、奴は掬い取る。




絶対に、こいつを許さない。
奴の側で、虎視眈々と狙う。
いつか私がこいつの首を、取る。







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