第8章 【テニスの王子様】 白石蔵ノ介
「ほら、昨日話したでしょ? お祝いされること少ないって言ってたし。だから、これ。よかったら食べて?」
目線をそらして、ちょっと早口になりながら、手渡したマドレーヌの入った袋。
白石「優奈、これ、俺に?」
「そうだよ。さっきからそう言ってるじゃん!」
白石「嬉しい……今日、最初に祝ってくれたんが、優奈なんや。ほんまに、嬉しいわ。おおきに。」
「いいのいいの、気にしないで! お祝いしたかっただけだから」
でもまさか、自分が1番なんて思ってなかったな……ちょっと嬉しいかも。
白石「なぁ、優奈。開けてもええか?」
「ん、いいよ……大したものじゃないけど……」
白石「これ、マドレーヌか? もしかして、手作り?」
「ん、まぁ……」
今更だけど、手作りあげるのって、すごく恥ずかしい。
白石「ほんま、おおきに。あとでゆっくり食べさせてもらうわ。」
優しく笑う蔵が、とてもかっこいい……。
「じゃあ、私もう行くね。朝練、頑張って!」
さっさと立ち去ろうと思ったけど、そうはいかなかった。