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短編夢

第1章 【FAIRY TAIL 】 グレイ


「シャロン、どうする…?」

与えられた控室は、六畳ほどの更衣室のようなところだ。鉄製のロッカーが数個と、姿見、スクエアテーブルと椅子が二脚。必要なものはあるから、よく言えば機能的、悪く言えば殺風景な部屋だった。
コンクリートの壁が、なんだか肌寒さを感じさせる空間だった。

「ど、どうって……頑張るしか無いよね。私たちに依頼をしてくれたんだし、さ……」
「シナリオ、見せてみろよ」
「あ、うん」

手元にあるシナリオの紙束を、グレイに手渡したとき、ほんの少し指先が触れて……。
そんなことでもいちいちドキドキしてしまうのだから、この心臓はかなり敏感でうるさいと思う。

「へぇ……すげえ凝ってるな」

パラ、パラ、と一枚ずつページを繰る音が、コンクリートで囲まれた六畳部屋に響く。椅子に腰掛け、足を組み、真剣にシナリオと向き合っているグレイの姿は、えらく様になっていた。格好良い、なんて、簡単な言葉では表せない。私の目にはフィルターがかかっていることを考慮しても、グレイのその姿は圧倒的に格好良かった。
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