第7章 【テニスの王子様】 幸村精市
「幸村くんの、お誕生日……」
朝、最初に教室で会った時から、ずっと言おうとして、幸村くんに遮られ続けた言葉……おめでとう……
精市「うん、正解。でね、優奈からの誕生日プレゼントが欲しいんだ。」
そう言って、真剣な瞳で、私のことを見る幸村くん。
精市「俺のこと、名前で呼んで?」
大好きな、彼からのお願い。
お誕生日プレゼントは、物で別に用意していたけれど、彼のお願いだもの。望むものだもの。
「精市……お誕生日……おめでとう……」
精市「フフッ、優奈、ありがとう!」
そう言って笑う幸……精市は、すごく嬉しそうで、見たことないくらい、子供っぽい笑顔だった。
「あのね、ゆ……精市、プレゼント、用意してあるんだけど、もらってくれる……?」
精市「本当に? 嬉しいな。優奈からのプレゼント、ぜひ、欲しいよ。」
そういう精市に、カバンの中から取り出すプレゼント。
2週間前から用意していた、このプレゼントは……
精市「ありがとう。開けていい?」
笑顔の精市に、少し恥ずかしさを覚えて、視線を外しこくりと頷く。
フフッ、って、いつもみたいに笑った彼は、すぐにラッピングを外し始めた。
そして、中から出てきたものは……
精市「わ……すごい! 優奈、もしかしてこの詩集って……」
「うん……精市の部屋にあった、詩集の作者と同じ人の……。もう持ってるかも……って思ったんだけど、柳くんが、それはないから大丈夫って……」