第7章 【テニスの王子様】 幸村精市
たどり着いたのは、テニス部部室。
精市「さぁ、入って」
ニコニコ笑いながら、私に話しかけてくる幸村くん……。
やっぱり何か、いつもと違うような……。
あれ? そういえば、部員の皆さん、いるんじゃないの……?
そう思いながら中に入ると、そこには予想外の光景……そう、部員さんはいなかった。
「あの、幸村くん? 部員さんたちは? それに、今日は朝練なかったの……?」
精市「部員のみんななら来ないよ。今日は朝練休みだからね。」
「そうなんだ……あ、そうだ、幸村くん、」
精市「あのさ、優奈。」
今日は、幸村くんに遮られてばかり……。
精市「俺、優奈にお願いがあるんだよね。」
「さっきも言っていたけど、なぁに?」
精市「うん、あのね。俺たち、付き合ってからもう2ヶ月くらいたったよね。」
「うん、そうだね……」
昨年のクリスマス……私と幸村くんは付き合い始めた。
精市「それでね、優奈にはお願いがあるんだ。俺、優奈に、精市、って呼んでもらいたい。ダメかい?」
「え……」
幸村くんからのお願い……それは、ちょっと意外なことだった。
「あの……」
少しの戸惑いと、若干の恥ずかしさ……そのせいで、うまく言葉にできなくて、もどかしい。
精市「今日……何の日か、知ってる?」
今日……3月5日……知らないわけないよ……。