第7章 【テニスの王子様】 幸村精市
精市「ねぇ、優奈。お願いがあるんだ。」
3月5日の朝、教室に行くと、笑顔の幸村くんに出迎えられた。
「あ、おはよう、幸村くん。あの、おた」
精市「優奈、お願いがあるんだ。」
「え……?」
私の言葉を遮って、幸村くんは再びお願いがある、と言ってきた。
精市「とにかく、場所を変えて話したいから、ついて来てくれない?」
今はまだ7時過ぎ。
朝のSHまでは、1時間ちょっと。
「う、うん、いいよ。」
精市「ありがとう。じゃあ行こうか。」
そう言って幸村くんは、私の手を引いて教室から出た。
一体なんだろう……。
まだ、クラスの誰も来ていない教室を後にする。
いつも、私が1番に来ていて、読書をしたり、予習をしたり。
でも今日は、幸村くんに手を引かれ、静かな廊下を歩く。
「あの、幸村く」
精市「ごめん、着くまでちょっと待ってて?」
「え……うん、わかった……」
幸村くん、いつもとなんか違うような……
少しの違和感を感じたけれど、そのまま黙って、幸村くんの後をついていくことにした。