第6章 【 頭文字D】 高橋涼介
啓介「そんじゃあとは、お2人でごゆっくり〜」
涼介「は?」
拓海「え、ちょっと啓介さん?」
啓介「兄貴、キー貸してくれ。FC乗って帰るから。」
え……?
涼介「なんでそうなる。お前がFCに乗って帰ったら、俺は何で帰ればいい?」
啓介「んなの決まってんだろ、なぁ、優奈」
は……?
拓海「今日、啓介さん、涼介さんのFC乗って来たから、FDないんだよ。」
拓海君がボソッと教えてくれた。
と、いうことは……啓介さんがFC乗って帰っちゃったら……
「涼介さんは私の車で送ればいいの?」
啓介「そーゆーこと。頼むな、優奈。んじゃ、藤原、帰るぞー」
拓海「あ、はい……あ、優奈、メリークリスマス‼︎ またな‼︎」
「え……うん……またね……」
…………沈黙…………
涼介「優奈」
「は、はい‼︎」
涼介「おでん、冷めちゃったな……」
あ……そういえば……。
手元には、すでに冷えたおでん。
でも、おでんの暖かさなんてどうでもいいくらい、今の私は幸せだった。
だって、会えないと思ってた人に……会えないけど一番会いたかった人に、会えたんだから……それだけで、私は本当に、幸せ。
「おでんなんて、別にいいんです。それより、寒いので、車戻りませんか?」
涼介「そうだな……じゃあ、お言葉に甘えるよ。」