第6章 【 頭文字D】 高橋涼介
貴方side
ランチを摂り終わり、少しゆっくりしてから、私は秋名湖へ向かった。
ちなみに今は、秋名山のヒルクライム真っ只中なわけで。
もちろん、車は多いのだけれど、これはこれでのんびりしていていいかもしれない。
今年は暖冬と言われていたから、幸いにも路面凍結や積雪はまだ見受けられない。
これなら事故なんてことにはならないはず。
良かった、見終わったらすぐに帰れる。
たっぷり15分ほどかけて登りきり、そのまま秋名湖まで進む。
有料駐車場に車を止め、時計を見ると16:52。
点灯が17:00からだから、あと少しだけ時間がある。
時間つぶしにと携帯を開くと、メールが一件。
『今年はまだ行ってない……ていうか、行く予定ないな。ところで優奈、今日は誰と?』
拓海くんからのメールに、迷わずに返信。
『実はもう着いたんだけどさ、誰とでもないの。一人なんだよね、残念ながら。』
そして送信ボタンを押す。
今気づいたけど、拓海くんからの返信メール、私が打ったすぐ後にきてたんだね。
全然気づかなかったなぁ。