第6章 【 頭文字D】 高橋涼介
そして迎えた24日。
昼頃に、高崎のファミレスで待ち合わせることにしたので、ランチを食べながら話すことにする。
涼介「昨年の冬にも伝えてあるが、啓介。冬の走り込みを大切にしろ。春からのお前の成長は、かなりいいテンポで進んできた。その勢いを衰えさせないためにも、この冬も走り込みは続けるんだ。タイヤマネージメントはもちろん、タイムやアクセルワークにも、いい意味で影響するはずだからな。」
啓介「あぁ、分かってるよ、兄貴。」
拓海「涼介さん、俺は、何を……」
涼介「藤原、お前はインプレッサの乗り方を身体に染み込ませるんだ。雪道で、タイヤの食いつきが悪いからこそ、技術を磨くチャンスだと思え。雪が溶ける春、きっと違いに気づくだろうからな。」
拓海「はい。わかりまし、」
ピロリン
拓海「……すいません。」
涼介「いや、構わない。」
藤原の携帯が、メールの受信を知らせる。
啓介「なんだよ藤原。女か?」
拓海「えっ⁈ あ、いや……多分違うと……あれ……」
史浩「ん、どうした?」
拓海「……えっと……優奈から……なんですけど……」
涼介「え?」
優奈……?
啓介「なんて?」
拓海「えっと……今日、これから秋名湖行くの。イルミネーション見にね。拓海君は、今年は見に行ったのかな? ……だそうですが……」
史浩「秋名湖のイルミネーションか……優奈ちゃん、これからって……涼介、約束してたのか?」
涼介「……いや……。」
約束どころか、連絡も取れていない……否、取っていない。
啓介「え、じゃあ、一人でか?」
……秋名湖のイルミネーションを見に、一人で……?
拓海「か、返して見ますか? 誰と行くのかって……」
史浩「いや、それは……」
涼介「そうだな、頼む。」
拓海「わかりました。」
優奈……まさか……な……。