第1章 【FAIRY TAIL 】 グレイ
「んで、ミラちゃん。呼ばれたから来たけど……急にどうしたんだ?」
「グレイ、割の良い仕事探してたでしょ?」
「あぁ。もしかして、見つけてくれたのか? さすがだな」
「ふふ、ありがとう。でも、一人の仕事じゃないのよ」
「へぇ……」
グレイとミラさんの間で交わされる会話を、ぼんやりと聞いている。話の内容はほとんど入ってこない。だって、私今余裕がなくて、それどころじゃない……。
「シャロンと行ってね!」
「へっ?!」
突然呼ばれた自分の名前に、素っ頓狂な声が出た。恥ずかしい……。
「おう、いいぜ! シャロン、よろしくな」
「あ、うん……よろしく!」
眩しいほどのグレイの笑顔に、自然と頷いていた。
「仕事内容はね、“男女一組のペア募集! アイスショーにてペアダンス!”っていうやつなんだけど……ね、ふたりにぴったりでしょう」
してやったり、な笑顔でミラさんが私を見る。
「え、あ、えと……その……」
アイスショー?
ペアダンス?
グレイと一緒に……?
ちょっと、キャパシティをオーバーしてる。
情報量に頭がついていかない。
「確かに、俺とシャロンは氷の造形魔導師だからな。よし、成功させようぜ、シャロン!」
「あ、う、うん、そうだね!」
これは……これはかなり、嬉しい。
グレイと一緒に仕事に行ける……その上、ふたりでアイスダンスなんて……。
「シャロン、頑張ってね」
ミラさんが、私にだけ聞こえるような小声で囁いた。
その言葉に、さっと顔に熱が集まる感覚。
は、恥ずかしい……。
「それじゃあ行ってくる」
「行って来ます!」