第11章 特別編 2
「え?」
何、って思うけど目を開けちゃダメだからそのまま固まっていると、もういいよ、って英二くんが耳元で囁いた。
パチパチと瞬きすると、くるっと英二くんの方を振り向く。そして英二くんを見上げると……
英二「優奈、Happy Birthday!」
そういって、ぎゅ、っと抱きしめられた。その拍子に、首元でしゃらんて音がなるから、え、って思って少しうつむくと、私の首にかかる、アンティークゴールドのチェーン。そしてその先で静かに揺れる、リング……つまり、指輪。でもそれより、今、英二くん……
「え、英二くん……?」
英二「優奈、何驚いてんの? 今日、優奈の誕生日だよねん?」
「そ、そう、だけど……」
英二「おめでとう! 優奈、大好きだにゃ!」
「え、な、なんで、英二くんが私の誕生日……」
知ってるの?
だって、教えたことないよ……?
英二「へっへーんだ! テニス部には、乾っていうデータ収集のスペシャリストがいるんだよん!」
ついでに、女心わかっちゃう系のアンティーク好きさんもね、っていたずらっぽく笑う英二くん。つまり、私……
「今日、英二くんがデートに誘ってくれたのって……」
英二「もっちろん、優奈の誕生日祝い! おめでと!」
「あ、ありがとう!」
英二「本当はさ、優奈からちゃんと聞いて、って思ってたけど、俺が考えてるより優奈の誕生日が早くてさ。」
実は乾に言われて慌てて準備したんだよねー、なんて笑いながらいう英二くんだけど、私は全然笑えなかった。寧ろ、なんか……