第11章 特別編 2
どれくらい歩いたんだろう……英二くんと話してると楽しくて時間の感覚なくなっちゃうからわかんないなぁ。
英二「もうちっとだかんね!」
そういって私を気遣ってくれる英二くんを見ながら、改めて好きだなって思う。
それから更に5分くらいかな、歩いたところで、見えてきたのは、すごく意外なところだった。
英二「優奈! 着いたよん!」
「……アンティークショップ?」
英二「そ! まぁ、とりあえず入った入った!」
「あ、うん……」
英二くんがアンティークショップ……珍しいなぁ……
中に入ると、英二くんは大きな声で店主さんを呼んだ。
英二「おっちゃーん、いるー?」
店主「お前、とりあえずそのおっちゃんっていうのやめてみようか?」
英二「なーに言ってんだよ、おっちゃんっはおっちゃんだぞー?」
店主「全く……そういえば、アレ、取りに来たのか?」
英二「そそ! できてるー?」
店主「無論完璧だ!」
そういって店主さんはお店の奥に入ってしまった。ていうか、店主さん、なんだか面白い人だなぁ。
アンティークショップなのに、すっごくカジュアルでフランクな喋り方をする店主さん。お店の落ち着いた雰囲気とのギャップに、ちょっと笑いそうになった。
英二「ここさ、ちょっと前に不二から教えてもらったんだ! なんか、店主のおっちゃんと気が合いそうだって言われて来たんだけど、本当に気が合ってびっくりびっくり!」
なんて言って笑う英二くんに、不二くんから聞いたなら納得、って思って頷きながら、2年次に同じクラスだったいつも笑顔な彼を思い出す。そういえばアンティーク調のものが好きだって話をしたことがあったな。でもなんで私をここに連れてきたんだろう? それに、店主さんが言っていた、アレって……?
1人で考えていると、店主さんが戻ってきた。
英二「おー、ちゃんとできてるー?」
店主「当然!」
英二「んじゃあさ、優奈、目、閉じてくんない?」
「え……?」
何をしようとしているのか、探る間もなく、目を閉じるように言われて、条件反射で閉じた。すると、目の前にいたはずの英二くんの気配が動いたのを感じる。なになに、って少し焦ってる私を他所に、英二くんは私の背後に回ったらしい。そして、一瞬ヒヤリ、としたものが首元に当たる。