第11章 特別編 2
そうこうしているうちに、駅につくと、英二くんが切符を買ってくれた。けど……
英二「表、向けたらダメだかんな!」
そういって、裏返して渡してきた。改札通る時に表向けちゃうよ、って言ったら、切符は裏返しても通せるんだよん、と返ってきて、驚いた。切符って、裏返して通せるんだ、って初めて知ったから。
英二「優奈、ちょーだい!」
改札を通ると、切符は英二くんに回収された。
あーあ、行き先わからなかったや……
そのまま、上り電車に揺られること十数分。降りた駅は有名なターミナル駅で、春休み中であり、更に日曜日であることもあって、かなりの人が行き交っていた。正直、英二くんに手を引いてもらえなかったら迷子になっていそうだった。
しばらく歩いて別のホームに行き、また数分電車に揺られてたどり着いたのは、都心も都心。さっきのターミナル駅以上の人がごった返していた。どうやら目的地らしく、今度は表向きの切符を渡された。
英二「優奈、もうちっと歩くけどいい?」
「うん、大丈夫だよ。それより、別にここなら内緒にしなくたってよかったのに」
そう言って笑うと、口を尖らせた英二くんが、ぶー、と文句を言う。
英二「もー、優奈ってば夢がないなぁ! 秘密の方がワクワクするじゃん!」
「うん、確かにワクワクしたよ! でも、まだゴールじゃないんでしょ?」
英二「そーだよん! ほら、行っくよーん!」
英二くんに手を引かれて、再び歩き出した。