第11章 特別編 2
「英二くん、おはよう! 早かったね!」
英二「うんにゃ、やっぱ早く優奈に会いたかったんだよん!」
「ふふ、ありがとう! 私も英二くん早く来ないかなーって待ってたの!」
英二「あーもう! 優奈、なんでこんなに可愛いんだよ〜」
「ちょ、英二くん!」
英二「おまたへ、優奈!」
「うん!」
英二「んじゃ、そろそろ行こっか!」
英二くんと手をつないで歩き出したのは、駅へ向かう道。きっと、電車に乗ってどこか出掛けるんだろうな、なんて考えながらも、道中は英二くんとたくさんお話した。テニス部のこととか、2年次のクラスのこととか。私たちはクラスが違ったし、私はテニス部とは無関係だから、普段の学校生活ではあんまり会うことはない。時々一緒にお昼ご飯食べたり、試験前は勉強したりするんだけど。
英二「あーあ、あとちょっとで始業式じゃんかぁ。春休み、あっという間だったにゃー」
「早いよね……休み明けすぐ実力考査だよ〜」
英二「うげぇ、忘れてた!」
「ふふ、大丈夫だよ、課題ちゃんとやってればできるよ、きっと!」
英二「えぇー、俺できる気しなーい……」
「10日が始業式だから、それまでに一緒に勉強しようよ!」
英二「そだね、わかんないとこ優奈に聞こっと。って、試験もそうだけど、俺はクラス替えが気になんなぁ。」
「あ……」
英二「今年は、今年こそは、優奈と同じクラスなんねーかなぁ……」
「なれたらいいなぁ……私、学校でももっと英二くんと一緒にいたいもん……」
思わず、ぽろっと漏らしちゃった。だって、クラス違うと、寂しいもん。
私と英二くんは、1年も2年も、違うクラス。初めて英二くんとまともに話したのは、2年の学園祭。同じクラスだった不二くんと仲がいいということで、偶然知り合って、どんどん仲良くなって……。
付き合い始めたのは、クリスマス前。
なんだか懐かしいなぁ……
英二「っ、もう、だからそんな可愛いこと言うなっての!」
そういって、ふい、とそっぽを向いちゃった英二くんだけど、私の手を握る力が少し強くなったから、なんだか嬉しかった。