第1章 鈴の音……沖田 総司
大きな広い洋館は二棟連なっていた。周りを囲うように蔦の葉が、建物に絡み付いている。
年代物の建物のようで、中は豪華絢爛な調度品が飾られていた。
高柳
『あ、今は家族もみんな来ているの。後で紹介するね。』
『うん。初めてだね、百合花ちゃんのご両親と会うのは。楽しみだなぁ。』
高柳
『両親も楽しみにしているの。でも、今は親族会議をしている最中だから後でね。』
親族会議……一体、どんな話をしているのやら。流石に、聞いたりはしないけど。
廊下を歩く中、僕は何気に窓の外を見た。そして、疑問が沸き上がった。
今更ながら……賑やかな出店が立ち並ぶ場所は、辺りには遮るものがなく見晴らしが良かった。それなのに……ここから見える出店からは、向こうからこの洋館は見えなかった。
こんな立派な建物なのにも関わらず、どうしてなのか?不思議でならない。
僕たちは、1つの部屋に通された。
高柳
『お茶でも淹れてくるから待っててね。』
『ありがとう。』
疑うことなく友人に笑顔を見せている彼女。確かに、素直なところが好きな要因の1つではあるのだけど……。