第4章 金平糖分の願い……沖田 総司
(変わらない)
そう言ったように聞こえた。
どうやら、彼女は僕を信用したようで……簡単に意識を無くしてしまった。
沖田
『半分……君は、何を分けたの?』
触れることも許されないような彼女のもつ雰囲気。
沖田
『……何か、僕も眠くなっちゃったな。』
いつのまにか僕も眠ってしまったようで、保健室の扉が開く音がして目を覚ました。
山南
『おや……沖田くん。』
沖田
『すみません……少し具合が悪くて。』
山南
『彼女は知りませんか?』
ベッドには、彼女の姿はなかった。
気配に聡い僕なのに、彼女がいなくなったことに全然気付かなかった。
山南
『少しは楽になったのでしょうかね。』
沖田
『山南先生。彼女は……いえ、何でもありません。教室に戻ります。』
保健室を出ていこうとした僕に、山南先生はこう言った。
山南
『沖田くんの思った通りにすればいいのですよ。ですが、授業のことで目をつぶるのは今回だけですからね。』
沖田
『失礼します。』
僕は、肯定も否定も……疑問を口にすることもしなかった。山南先生の含みのある問い掛けに……。
僕の思った通りにすればいい……。