第1章 鈴の音……沖田 総司
やがて、町から離れて観光地で有名な駅で僕たちは下車した。
観光地らしき、人が多い。そして……出迎えてくれた友人の【高柳 百合花】。
相変わらず色素の薄い色白な顔をしている。今は不審な様子は見受けられない。
一先ずは、観光地らしく辺りを案内してくれることになった。
それにしても、観光地らしく大きなビルなどない先を見渡せる開けた場所だ。
天気も良くて、観光日和の週末。
僕は、純粋に観光を楽しむ彼女と友人の後をついていく。少しでもおかしな真似をされないように、目を光らせながら……。
『あっ、美味しそう‼総司さんもそう思うでしょう?』
店先にあったのは、小さくてカラフルな金平糖。僕も彼女も、昔ながらの甘味を好きだったりする。
沖田
『そうだね。僕も買おうかなぁ。』
『可愛いね。百合花ちゃんは?』
高柳
『私は大丈夫。ここで待ってるから買ってきて。』
『分かった。総司さん、行こう。』
僕の手を引いては、店先へと向かう。その途中で、一瞬だけど背筋が寒くなるような殺気を感じた。
あの子が見ている……その視線の先が、僕なのか彼女なのかはわからないけど。