第3章 俺色に染まれ ……原田 左之助
車でいつもの帰り道、本格的に雨が振りだした。
原田
『ん?あれは…………。』
書店の軒先で雨宿りしているがいた。恨めしそうに鉛色の空を見上げている。
通り過ぎようとしたが、俺は目の前に車を止めて車の窓を開けた。
原田
『!雨宿りか?遠慮しないでいいから、乗っていけよ。』
は周りを見回し、少し考えたような顔をしたが……その足を踏み出した。
原田
『あ……こっちに……来た?』
ドアを開けてやれば、直ぐに乗り込んできた。
『すみません、助かります。でも、先生の用事は終わられたのですか?』
原田
『まぁな。それより、家はこっちなのか?』
『あ、いえ……。欲しい参考書があったので、書店に立ち寄っていました。』
よくよく聞けば、新八からお奨めの参考書を聞いたらしく手に入れたくて立ち寄ったらしい。
書店は駅とは少し離れた場所にある。あの時俺は駅の近くに用事があると言った。
は書店に立ち寄りたかったから、俺の誘いにのらなかったようだ。
遠慮しないでいいからと言ったが、まさか先生相手に書店に行きたいなど言えなかったらしい。
理由が分かり、ホッとする俺。嫌われていたようではなかった。
『先生って、あの保険の女の人と深い仲なのですか?』