第2章 貴方の街のパン屋さん……土方 歳三
土方
『俺のパンは、お眼鏡に叶っただろうか?』
『土方さんのような方にこそ、生かしていただきたいです。きっと、お互いが成長出来ると思うんです。……なんて、生意気ですかね?』
彼女は、向上心が高い。俺も見習わなくて、愛想を尽かされるだろう。
そうならない為に、精進しなければならない。
『改めてお尋ねします。契約されますか?』
土方
『勿論だ。』
『分かりました。では、新種の小麦粉も試して下さい。』
彼女が言った新種は、惣菜パン用の小麦粉。愛おしそうに撫でる小麦粉。
土方
『で、あれから変なヤツは来ないのか?』
『あ、あぁ……追っ払っておきました。』
やはり、強いヤツだ。
土方
『だが、何かあってからでは遅い。小麦粉だけでなく、あんた自身も大事にしてくれ。』
『いつも自分のことは二の次なんですよね……。みんなにも心配かけてしまって……。』
苦笑いを浮かべる彼女に、俺は進言した。
土方
『なら、俺を頼れ。力仕事なら使えるヤツらがいるし、それ以外のことでも力になろう。』