第2章 貴方の街のパン屋さん……土方 歳三
『人使い荒いですよ?』
土方
『なんだ、俺と同じじゃねぇか。』
そう言っては、笑い合った。
『じゃぁ、お言葉に甘えます。』
土方
『それから……。』
俺は、彼女の耳元で囁いた。
『……フフ、それは土方さんの今後の頑張り次第ですかね。』
どうやら、フラれたわけではないようだが……こっちも、発展途上中と言うわけか。
土方
『で、あんたは何歳なんだ?』
『土方さんの6歳下です。』
土方
『が、学生……。』
『はい。大学3期生です。』
俺は、項垂れた。学生ならば、周りにたくさんの男もいるだろう。って、負けるつもりはサラサラないがな。
『頑張って下さいね。』
俺の隣りで笑う彼女を見ては決心した。近い未来、必ず手に入れる。
どんな障害があろうが全て蹴散らしてやる。だから……。
覚悟しとけよ。俺しか見えないくらいに惚れさせてやるからな。
土方
『来年のこの季節も、この風景をお前と見たいな……。初夏の爽やかな風に揺れる、この小麦を二人で。』
しかし、一先ずは俺もお前も精進しなければな。お互いの未来と夢を掴む為に。
そして、貴方の町のパン屋と言えば…………?
【パン工房 薄桜】だと、誰をもの口からその名が出るように。