第2章 貴方の街のパン屋さん……土方 歳三
そこへ遅れてきた近藤さんや源さん(井上 源三郎)にそして、山崎が現れた。
近藤さんと源さんは一口食べて、懐かしそうな表情を浮かべていた。
この時になって、10年前に手に入らなくなった小麦粉の話を聞くことになった。
元々、あの小麦粉を作っていたのは……有名大学の教授だったらしい。
数多の品種改良をして、あの小麦粉を作り出した張本人。しかし、体調を崩して研究を続けられなくなり、引き継ぐ人材もいなくて幻となったようだ。
では、今になってどうして……?
疑問は、源さんが応えてくれた。
井上
『榊教授のお孫さんが、意志を継いだようだよ。今でもご存命の教授の奥方から、教授の研究ノートを引き継いで事業を立ち上げたらしいんだ。』
土方
『孫?しかし、あのファームの代表は……。』
井上
『教授には娘さんしかいなかったんだ。嫁いだと聞いたから、そちらの名前なのではなかろうか。』
近藤
『そう言えば……そのお孫さん、トシも会ったことがあるはずだ。』
いきなり近藤さんにそんなことを言われ、俺はあの時のことを思い起こしていた。
土方
『あっ!?確か……小学生くらいの子供がいたような。』