第2章 貴方の街のパン屋さん……土方 歳三
永倉
『いい匂いだなぁ。』
藤堂
『タイミング良かった?』
原田
『全くだぜ。お前らの嗅覚には、頭が下がるぜ。』
テーブルに並べられた4種のパン。そのどれもが食欲をそそられる香り。
土方
『では、食べてみるか。』
試食用に切り分けた食パンや丸太パン。総司や斎藤が作ったパンのそのどれもが美味だった。
沖田
『これって、やっぱり小麦粉が違うからですかね。』
土方
『だろうな。で、この小麦粉を手に入れられるように、今から交渉しなければならない。』
永倉
『何としてでも契約してきてくれよ。この小麦粉を手に入れられたら、鬼に金棒だろ。』
沖田
『新八さん……それって遠回しに土方さんが鬼だって言っているんですか?』
土方
『あぁっ!!?もう一回言ってみろ‼』
沖田
『やだなぁ。僕が土方さんを鬼だって言っているわけじゃないですよ。新八さんが土方さんを鬼扱いしたんじゃないですか。ね?新八さん。』
原田
『嫌……違うだろ。なぁ、新八?』
永倉
『も、勿論だ‼変な濡れ衣きせるなよ。』
沖田
『あれ?そうでしたっけ。』
総司は、どこ吹く風の表情だ。ったく、人をからかうのが好きでどうしようもないヤツだ。