第2章 貴方の街のパン屋さん……土方 歳三
あの後、近藤さんの店に通い……今に至る。
見た目の華やかさに反比例して、重労働なこの仕事を辞めていくヤツを何度見送ったか分からない。
それでも、俺は店長まで上り詰めた。
作業場に入れば、他のヤツらも直ぐに現れた。どうやら、俺と同じ気持ちのようだ。
心地よくパン生地を捏ねる音が響けば、ワクワク感が否めない。
原田
『しかし、懐かしいなぁ。あの時の食パン。』
土方
『そうだな。』
斎藤
『店長。もう一種類の粉で、これを作りました。』
沖田
『美味しそうだと思いませんか?一くんの作った、バターロール。あ、そうそう。僕はクロワッサンを作りました。』
原田
『俺は、丸太パンだ。土方さんの食パンも直に焼き上がるぜ。』
斎藤
『非番の平助と永倉さんには、試食のことを連絡しておきました。』
噂をしたら、聞き覚えのある車の音と共に二人の声が聞こえてきた。
全く、タイミングのいい奴らだ。たった今、焼き上がりのブザーが鳴ったんだからな。