第2章 貴方の街のパン屋さん……土方 歳三
店に戻っては、桜の花びらを乗せた甘さ控えめの定番のあんパンを作る。
焼き上がると同時に居合わせたのは、大の甘党の総司。そして、腹をすかせた新八と平助。
沖田
『美味しそうですね。』
土方
『全くお前らは、目敏いな。試食を今からやるから、みんなも呼べよ。』
平助の声かけにより、従業員一同が集まった。男ばかりが集まって、あんパンの試食というのもどうかと思うが……。
しかし、今回の出張は収穫があったようだ。試食は、店に来ていた客にも振る舞ったのだが、好評価だった。
俺自身も、この小麦粉で新しいパンを作ってみたいとさえ思う始末だ。
その日の夜、自宅にて新作を考える。しかし……まだ、決めかねていた。
何か一番の使い道がある気がしてならない。こんなに素材のいいものなのだから。
それに、作り手の愛情が感じられる。また、みんなからも案があるかもしれない。
頭の中は、寝ても覚めてもパンのことばかりだった。