第1章 君ノ背中。[☆]
スポーツ後にこういうものを食べるのは悪くない。
だけど、タイミングが悪いといえば悪い。
「ツッキー、せっかくだしもらっときなよ」
「あー……」
山口が小声でそう言う。僕自身も部員全員が見てる前でというシチュエーションと、部活終わりで疲れているということもあってか、受け取ってしまった。
……もちろん、他の部員が黙ってるはずがないけど。
「俺も」「俺も」と、西谷さんや田中さんたちが群がり、あっという間にタッパーは空になってしまった。
彼女に「ごめんね」と眉を下げながら謝るキャプテンと菅原さん。
そんな2人に彼女はニッコリした顔を崩さずに「先輩方もお疲れ様です」と、特にへばった様子も見せなかった。
はちみつレモン。
味は、やっぱり悪くない。