第1章 君ノ背中。[☆]
「理解不能……」
地面にボン!と下靴を乱暴に投げて、そう呟く。
隣にいる山口は口角を上げながらウキウキした様子で僕の顔を覗き込んできた。
「華楓ちゃんのこと?可愛いよね!ツッキーモテモテ!」
「……山口うるさい」
いつもの如くそう言うと、「ごめんツッキー☆」と謝ってるのか分からないようなテンションでそう返してくる。
椿 華楓。
そういえば、どっちも植物の名前――……
なんて、どうでもいい思考が頭をよぎった。
そんな思考、毎日の部活で忘れることなんて容易くできる。
何故かその日は、いつも以上に練習に打ち込んだりしてしまった。