第4章 散れない桜
「ユリ、可愛いね。
大好きだよ。
気持ちいいんだね。そういう顔、堪んない」
……リュウセイ先輩の甘い言葉がちりばめられる行為が終わって、彼は隣で寝息を立て始める。
女の子を喜ばせる天然の才能を持っている彼は、外見がここまで格好良くなくてもきっとモテたことだろう。
少し乱れた髪が愛しくてそっと触れた。
つい数時間前、1月ぶりに会った彼は栗色の髪の可愛らしい女の子に言った。
「この子、俺の彼女。
だから……ごめんね?」
私の方がずっと可愛いのに、とでも言いたげな目で私を睨んでいた女の子。
あんな目にはもう慣れた。