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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第1章 結婚しようか 【及川徹】


体育館に入ると、試合相手はもうウォーミングアップをしていた。相手チームの人たちはどんな人らがいるんだろうと思い、視線を向ける。その中に1人、マネージャーだろう、監督らしき人と話しているのが見えた。その時、俺の体は電流が走ったかのような刺激を受けた。こんな感覚初めてだ。今までどんな女の子がいようと何も思わなかったのに。
試合中も気が付いたらあの子を追ってる。
練習試合が終わって、体育館を出たのを見計らい、後を追った。
「ねぇ!そこのマネちゃん!」
「なんでしょうか?」
女の子が驚いたようにこっちを向く。
「君、名前は?」
「え?あ、咲坂 春乃です」
戸惑った様子を見せる春乃ちゃん。
「それで、何のようですか?」
そう言って首を傾げる仕草に俺の心は射抜かれ、気が付いたら春乃ちゃんを抱きついていた。
「キャア!?は、離してください!」
そう言って俺の腕の中で必死に抵抗する春乃ちゃんに俺の心はさらに射抜かれ、キスをしていた。
それと同時に乾いた音がして、じんわりと頬に痛みがする。
「最っ低!大っ嫌い!」
そう言って走って体育館に戻って行ってしまった。
やってもたぁぁぁ!!!!!!!
そう思った時はもう遅く、後で謝りに行ってもフル無視。
俺はその日から後悔しまくった。
練習も身が入らずミス連発。心身ともにそうとうのダメージを追った。
そんなある日、体育館に1人の訪問者がやってきた。
春乃ちゃんだ。
なんとなく気まずいと思い、ササッとボールを取りに行く。
「あの、及川さんという方は?」
「及川、この子が呼んでる!」
マッキーが俺のことを手招きしてる。できれば行きたくないけど、あの子が呼んでくれたし。
俺はボールをそこらへんに転がして、春乃ちゃんの方へ歩いて行った。
「えっと、何?」
「この間は叩いてしまってすみませんでした!!」
俺は彼女の言葉に驚きを隠せずにいた。だって、いきなりあんな事した俺が悪いのに、今謝ってるのは俺じゃなくて春乃ちゃん。
「な、なんで君が謝るの!?君は何もしてないよ!?」
「でもほっぺた叩いちゃったし……」
申し訳なさそうに首を垂れる。
「大丈夫だよ!ほら、何ともないでしょ?」
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