第1章 結婚しようか 【及川徹】
「本当ですか?」
そう言って、叩いた頬を撫でる。
「良かった…」
「……ねぇ、春乃ちゃん」
「はい?」
「及川さんと付き合わない?」
俺がそう言ったら、春乃ちゃんは目を丸くしてパチパチと瞬きをする。
「えっと、友達からでも?」
「全然オッケー」
俺は手の親指と人差し指で丸を作りオッケーマークをした。
「それから順調に進んで、今ではこんな風にラブラブすることができたんだよね!」
「はい。でも、どうしてここに?ただ思い出話をしに?」
「ねぇ、春乃ちゃん」
「なんでしょう?」
「君はもう高校生を卒業して、俺と同じ大学生になる。だからね………」
俺は春乃ちゃんの手を握った。
「春乃ちゃん、俺と結婚しよう?」
俺の言葉に春乃ちゃんはしばらくフリーズ。でも理解したのか、春乃ちゃんの目尻にうっすらと涙が溜まる。
「私でもいいんですか?」
「春乃ちゃんだからいいんだよ」
そう言うと、春乃ちゃんはそっと微笑み、
「お願いします」
と言った。
そうして俺たちは春乃ちゃんの大学の入学式が終わってから式を挙げた。