第1章 結婚しようか 【及川徹】
及川side
「卒業おめでとう!春乃ちゃん!」
「お、及川さん!?」
今日は春乃ちゃんの高校の卒業式。サプライズでお祝いに来た。だって春乃ちゃんは俺の彼女だしね!
「な、なんでここに?大学は?」
「休んだ」
「だ、ダメじゃないですか!!!」
「えー、どうしてもお祝いしたかったんだもん!!」
「どうしてもでもダメですよ!!」
そう言ってプンプン怒る春乃ちゃん。可愛い。
「なんか変なこと考えてませんか?」
「べつに〜」
春乃ちゃんってエスパー?そう思ったことは内緒。
俺は春乃ちゃんの手を引いて歩き出す。
突然手を引っ張られて驚いたのか、小さく声を上げた。
「あ、あの何処に行くんですか?」
俺の横で春乃ちゃんが聞く。
「内緒」
「え、なんで?教えてくださいよ」
「サプライズだからダメ」
俺が言うと、春乃ちゃんは渋々納得したようだ。
「及川さん…、ここって…?」
俺が春乃ちゃんを連れ来た場所は俺の母校の青葉城西。ここで俺たちは出会った。
「覚えてる?ここで俺、春乃ちゃんに大嫌いって言われたの」
「はい……」
すごく申し訳なさそうに春乃ちゃんは言った。
2年前
「きゃー!!及川さぁぁん!!
今日は練習試合。そして今日も体育館前に女の子が集まっている。この人数にも慣れた。
俺が適当に手を振るとさらに大きく黄色い声が上がる。
「おい!及川!さっさと入れ」
「いだぁぁ!!もう!岩ちゃん!もっと優しくしてよ!」
「お前にやる優しさは持ち合わせてない」
「え”!?それヒドくない!?」
「別に」
そう言って岩ちゃんは体育館に入る。俺はそれに付いて入る。