第4章 記憶と鎖
「お前ら、誰だ?」
光瑠から出た言葉がこれだった。意外な言葉に、皆は茫然となってしまう。流石の賢次すら焦りをみせてしまう。
「私です!久佐元賢次です。覚えてないのですか?!」
賢次が光瑠に呼び掛けても、首を傾げる。そんな…と絶望を感じながらそんな事を言い出す洸汰。だが、腰に光瑠の剣がある。それは、本人である事を示している。
しかし、今の光瑠は別人のように振る舞う。
「それに、俺自身が誰なのか分かってない。お前らは、俺を知ってるみたいだな…。」
「まさかと思いますが、記憶がないのですか?」
賢次の呼び掛けに、コクリと頷く光瑠。そう、光瑠には記憶が一切ない。世に言う記憶喪失だった。賢次は苦しげな表情をする。
やがては、賢次は一旦息を吐き出して、今までの出来事を記憶がない光瑠に話す事にした。
全て話終わった所で、興味深そうに頷く光瑠の姿。そこで、自分の名前を知る。
「光瑠様達が見つけた、場所へ行きましょう。私と共に、行きましょう!」
「それは無理だな…。」
賢次は、光瑠を連れて帰ろうと考え誘うがそれを断る光瑠だった。そのやりくりに何故ですか?!と声を張り上げる洸汰。
「術が使えるお前らなら見えるだろ……?俺の繋いでいる物を………。」
急に、光瑠は暗い表情を見せながら自分の左腕を軽く持ち上げる。その時、ジャラ…と音が聞こえる。
普通の人には見えないが、術を使っている人達なら見える物…それは…金色に輝く鎖。