第22章 期末の時間
浅野「…それより、本題に入りましょうか。
何で…
あの人を、E組に落としたのか。
その本当のわけを、教えてくれませんか?」
理事長「まったく。
今月に入って、何度目だと思っている?
その質問に関しての答えは、前にも言った通りだ(微笑」
浅野「答えになっていないんですよ。
表ばかりの理由ではなく、裏まで話してほしい。
それだけです。
第一…
彼女は、裏なんて持ち合わせてはいない。
明るく輝き、笑顔を見せ…
常に、温かくて優しく…
全てありのままに受け入れる、陽だまりのような人だった。
そんな人を落とすこと自体…
僕は、賛同しかねると言っているんです!」
理事長「ほお…
支配するつもりが、逆にされたということか」
浅野「違う!!
あの人を落とすこと自体、筋違いだと言っているんです!!
あの人は…
ケイトは!A組に欠かせない存在だ!!」
理事長「そうだとしても…
あそこまで突っぱねられて、どうしようというつもりだい?
知っているだろう?
彼女が球技大会で、何と言ったのか」
浅野「っ…」
その言葉に、思わず顔をそむける浅野。
理事長「…
「共に受け入れ合い、共に進んでいく。
私は…
そんな『E組』として、ここに居る。
それだけは…絶対に変わらない。
どこまで行こうが
どこまで生き永らえようが…
私は、椚ヶ丘中学校の『E組』
田中ケイトだ(微笑」
と、E組であることだけは
絶対に誰にも譲れないと言っていた。
そして今も…
E組を、世界で初めての
血の繋がらない、大事な家族として
大切にし、護り抜こうとし続けている…
E組にいたから、私がいるとでも言うかのようにね(微笑」
浅野「…そうだとしても…
それは、僕も同じで…」
理事長「惚れているのかい?」
浅野「かあっ)!!//ちがっ」
理事長「…どちらにせよ
この件に関しての話し合いは、時間の無駄だ。
お引き取り願おう」
そうして…
理事長室での話し合いは、幕が下りたのだった…