第21章 ビジョンの時間
今から4年前…
3月22日、葬式の日
寺坂「おい、ケイト…」
俺は…思わず、ケイトの肩に手を置いた。
だが…
後ろから見て
ケイトの目から、涙が落ちていくのが見えた。
その直後
「Get away from Kate, Japanese!!」
ケイトから離れろ、日本人!!
下衆を見るかのような目で、俺を見つめながら
ケイトから、腕を払って弾き飛ばした。
「The other, it's all right.
I'm with.
Because I protect Kate…」
もう、大丈夫だよ。
私がついている。
私がケイトを護るから…(苦笑)
そんな愛を込めた瞳に…
ケイト「うあぁ~!!;」
ケイトは祖父へ抱き着きながら、泣きじゃくり続けた。
どれだけ周りが腐っているのか…
それが解ったのは、ケイトが立ち去った後だった…
周りが腐っていることを自覚したと同時に…
俺は、その汚れによって…
ケイトが、散々傷付けられ続けてきたのだと知った…
それと同時に、あの笑顔が…
共にいた日々が、どれほど輝いていて…
掛け替えのないものなのかを知った…
二度と戻ってこないかと思うと、悔しくて
自分さえも汚れている。助けられなかった。
そして俺は…
周りを、一方的に従えることにした…
あのいじめっ子と同じように…
今度は、俺が従えてやると思ったんだ…
同じように腐るぐらいなら
俺はせめて、楽して手に入れてやる。
今まで、あいつから…
眩しさを、愛を、笑顔を、幸せをもらってきたように…
だが…
あいつは今、帰って来ている…
幼かった、あの頃じゃない。
だけど…目の前にいる。
俺は、それさえも護れねぇバカだ。
けれど…
あいつは、何度でも手を差し伸べやがる…
何度でも、助けようと…救おうとしやがる。
大事にしようとして、俺が幸せそうに笑うと
心底嬉しそうに、幸せそうに笑いやがる。
俺は…それが、大好きだった。
そんなお前と…一緒にいたいと思った…
だが…あの日を境に、変わっちまった…
苦しんで泣くお前に、何もしてやれなかった…