第1章 幼馴染
授業中。
空はノートにうず巻きを書きながら、
必死に睡魔と闘っていた。
朝はすぐに駿の家へ行く。
というより、連れて行かれるのだ。
だから、物論寝ている時間は結構少ない。
空はいつもこの時間に眠気に襲われるのだ。
そんなふわふわとした意識のなか。
なにかが空の髪の毛を触っていた。
空ははっと眠気がさめ、髪を触っている
のは誰だ と後ろを向く。
「三つ編みってどーやんだ?」
その正体は駿だった。
肘を机にあて、空の髪を必死に束ねようとする。
空ははあと溜息をつくと、
駿の手を取って、
「こらっ、人の髪で遊ぶな!!」
と頬をつねった。
「!!!!いあいいあいって(いたいいたいって)!」
駿は今朝と同じように両手をバタバタさせる。
空はそれでも手を離さなかった。
「おめんなあい(ごめんなさい)!!」
駿が謝ったところでやっと手を離した。
「うあ~痛ってぇ!!空の馬鹿野郎!!」
「馬鹿は駿でしょ!!授業中だよ!!」
「授業中だよ!!」
第三者の声に二人はえっと横を向く。
するとその瞬間、頭に鋭い痛みが走った。
「いたっ!!」
「いって!!」
頭を抑えながら前を向くと、
担任の近藤が教科書をもっていた。
ああ、あれに叩かれたのか…
空は近藤の顔を覗く。
近藤は呆れ顔で二人を見つめていた。