第5章 happyendは望めない
「違うっ!…駿は…ずるくなんかないっ!!」
空は、大粒の涙を散らしながら叫んだ。
「私が…私がずるいんだっ!!
咲輝のことを嫌な女扱いして…っ
自分の気持ちもまだ駿に伝えてないのに
嫉妬して…っこんな傷まで作って!!!!!」
腕を捲くり、駿に真っ白な包帯を見せた。
駿は、悲しそうにその包帯を見つめる。
「…ごめんね?…本当…ごめんなさぃっ…」
今にも消えそうな声で空は言う。
駿は、そんな空の頭をそっとなで始めた。
「…俺もごめんな…っ…ごめん…ごめんっ…!」
いつまでも、家の前でふたりの男女は泣き合う。
自分達がそれぞれ思っていたことを吐き出しながら。
その度に、ふたりはお互いを許しあっていた。
「…駿。」
「…ん?…」