第4章 もう届かない
廊下を走り、
階段を下り、校庭を走り、
校門を出て、家へ走る。
この数十分の間、
空は只走っているということしか考えられなかった。
何もかも真っ白。
何も見えない。
何も響かない。
いつの間にか、空は駿の家の前で
泣き崩れていた。
「うわあああああぁぁあっっっっ!!!!!!!」
空は号哭する。
何のつかみどころもない地面を、
ぐっと掻き毟るように爪を立てる。
胸が痛い
腕が痛い
心が痛い
悲しみが…痛い
もう、ボロボロじゃないか。
もう、ダメだよ…
滲む視界の中に映るのは
いつも駿が「よぉ 空」と
優しく笑顔を見せてくるドア。
そのドアは、冷たい氷の壁に感じた。
「…さわれない…よ…」
『氷なら、溶かせばいいじゃない』
「!!」