第4章 もう届かない
学校へ登校し、
教室に入ると、何やら皆が騒いでいた。
その原因を知ったとき、
空は胸を鋭いもので突かれたような衝撃を受ける。
「ヒュー!ヒュー!!お熱いねぇ!!」
「しゅーんっ!!絶対幸せにしてやんなさいよぉ!!」
「咲輝さんおめでとーーー!!!!!!!」
目の前で歓声を浴びせられていたのは
照れくさそうに頬を赤らめる駿と咲輝の姿だった。
その状況に、空は
なぜ皆が彼らを冷やかすのかには予想がついた。
駿が、はっとこちらに気づき、
嬉しそうに近寄ってくる。
「チーッス!空っ!」
「あ…うん…おはよぅ…どうしたの?」
「あ、えっと…実はな…」
駿は恥ずかしそうに顔を伏せる。
空はその様子を、呆然として見つめる。
やがて彼は、しょうがない!っというように
明るく顔をあげ、
「実はっ咲輝と付き合ったんだ!!!」
と笑ってみせた。
空は、心の底から深い悲しみに捉えられる。
包帯を巻いている腕をぐっと掴んだ。
こんな小細工をして
駿の気を引こうとした自分が馬鹿だった。
だって。もう駿は私なんてどうでもいいのだから。