第3章 私はジュリエット
授業が終わると、すぐに咲輝の周りには
人がぶわぁっと集まった。
全体的に男子の方が人数が少し多い。
みんな、彼女に自分のことを憶えてもらいたいんだろう。
空は、そんな人だかりを見つめながら、
溜息をついた。
彼女の顔が、微かな隙間から覗ける。
とても可愛らしい笑顔だ。
後ろをむくと、
駿は肘とついて、またじっと彼女を見つめている。
少しだけ、にこりと口元が微笑んでいた。
駿は
咲輝 に 恋をしたのだ
シンデレラ に 恋をしたのだ
空 は 心の底から悲しみを感じた
ジュリエット は 心の底から悲しみを感じた
その胸を締め付けられる感情を
押し殺して、空は
「咲輝ちゃん。人気だね。」
と、駿にむかってにっこりと微笑んだ。