第2章 シンデレラ
コピーをしようと印刷室にいこうとする二人。
廊下で先程のテレビの話でまた盛り上がっていた。
「それにしても、学校も大胆だよねぇ」
空は企画のプリントを見ながら呟く。
「まぁ、夜に学校とか行かねぇからなぁ」
「あ、これ男女で肝試しあるんだって。」
「え?あ、本当だぁ」
駿は空が指さした説明文の方へ目をやる。
空はそんな駿をみて、
「これ一緒にいかない?」
と言った。
駿は「お~そうだな。また一緒に行くかぁ」と
へなへなした笑顔を見せる。
空は嬉しくなった。
去年の時のように、
また二人でお祭りと肝試しに行くのだ。
こんなに駿と近くで過ごしているのは
たぶん私しかいないだろう。
そう思い、
笑顔で曲がり角を曲がろうとしたときだった。
「っっっ!!!?わっ!!!!」
「きゃっ!!!!」
空はその場に倒れ込んだ。
角の向こうからひとりの女の子が走ってきたからだ。
女の子も転んでいる。だが、
すぐに立ち上がり、「ごめんなさいっ」と
頭を下げてまた走り出していった。
「おいっ!前ちゃんと見ろよ!!!!!」
駿はその女の子に向かって叫んでいた。
「空、大丈夫か?」
駿はすぐに空の手を掴み、
背中を支えて立ち上がらせる。
空は腰を抑えながら、「いててぇ」と嘆いていた。
「ったく、あの女気をつけろっての」
駿は女の子が走っていった方へ
顔をむけ、眉をひそめながら愚痴を言っていた。
空は駿の背中をポンとたたく。
そして、駿が振り返ったところで笑顔を見せた。