第2章 シンデレラ
「駿、何だったの?」
空は戻ってきた駿に問いかける。
「ん?ああ、なんかダチから聞いたんだけど
今日転校生来るらしいって。
それで期待半分だけど合コン誘うから
お前も来てくれって頼まれてさ・・・。」
駿は頭を掻きながら、
めんどくさそうに伸びをする。
「へぇ~転校生か…。」
空は少し不安になった。
もし駿がその友達に誘われて
合コンに行ってしまったら、転校生が
駿のことを好きになってしまうのではないだろうか。
確かに頭はパーだが、
顔も性格も結構良い。運動もできるし、
その鈍感という機能を備えているので
結構女子に駿はモテているのだ。
もちろん、私にも。
「…その、駿は転校生がくる合コンに行くの?」
私は自然に問いかけようとしたが、
少しだけ声が裏返ってしまった。
だが、駿はあんまり気にしてないらしい。
「え? う~ん…。俺は外で
食べるより空の料理を食べるほうがいいな。」
「えっ」
駿はフニャっとした笑顔で答える。
まったく本当にデリカシーのない男だ。
しかもその転校生のことではなく
ご飯のことについて考えるとは・・・
「結局 食べ物で決まるんかい。」
私は嬉しい気持ちを隠しつつ、
呆れたような声と笑顔で駿を見つめた。