第1章 幼馴染
だんだんオレンジ色の夕日が
色をかえ、街が暗くなっていく。
帰り道、二人は
長い坂道を上っていた。
「今日は夜ご飯なにがいい?」
空は駿に問いかけた。
駿は「うーん」と下を向いて考える。
そして、
「チャーハンがいいかな。」
笑顔でこたえた。
「駿。チャーハンは昨日も食べたでしょっ!」
「え~!!!やだ!チャーハンがいい!!!!」
駿が嫌だ嫌だとだだをこねる。
空はそんな駿をみてわかったわかったと
呆れ顔で慰めた。すると駿はやった!とまた喜ぶ。
その笑顔をみて、空は気持ちが温かくなった。
「やっぱり空はいい奴だな!!」
「ええ!?そんなことないよ!」
「ううん!空は絶対いい嫁になるよ!
なんなら俺と結婚すっかぁ?はははは!!」
駿は冗談で言ったことだろうが、
空はそれを意識しすぎて顔が真っ赤になってしまった。
「ほんっと鈍感なんだから…。」
「ん?なんか言ったか?」
「ううん!何でもないよ。あ、
今日クッキー焼いてあげるよ。好きでしょ?」
「おお!!まじ?ありがとう!!」
そう言って、駿は前をむいた。
空は、その横顔をみながら微笑んでいた。
「クッキー、たくさん焼いてあげるね。」
空は静かに呟いた。