第1章 幼馴染
「起立 礼。」
「さようならー。」
帰りの学活が終わり、放課後になった。
「終わったああ!!!」
駿は空の後ろで大きく背伸びをする。
空はかばんに教科書を詰め込みながら、
駿の顔をみて「ははは」と笑っていた。
「いやぁ~今日は三回怒られたね。」
「いつもにしては結構少ないんじゃね?」
「それ言えてるかも。」
二人は顔を見合わせで笑う。
「じゃあまたね。駿、空。」
凪がこちらにきて、あいさつをしに来た。
空は「またね!」と手を振る。
駿は「うぃーっす」といって敬礼した。
すると、凪の後に続いて瑠実も姿を現す。
「本当、仲がいいんだから。」
「あ、瑠実!」
「お、怪力女!またなっ!!」
「誰が怪力だって?鈍感坊主?」
「坊主じゃねぇーし!!
俺は本当の事をいったまでだ。」
なんの争いもしていないが、駿は勝った、と
いうように鼻をこする真似をする。
瑠実はそんな駿をみて、
怒る気にもならなかったみたいだ…。
「じゃあまたね。空ちゃん、駿。」
「うん。またね!!」
「チーッス。」
こうして、教室の中は空達だけになった。
駿はもう一度背伸びをすると、
ガタガタと机に音を出しながら立ち上がる。
「 よし、 帰るか。」
駿は空に向かってフニャっとした笑顔を見せた。
「…。うん!」
空は元気よく頷くと、席を立った。